アメリカ企業、アメリカ人との仕事の3つのコツ&『出世する人の英語』(小林真美著)

American House

アメリカに駐在で来てはや二年経ちました。

アメリカに来て強く感じるのが「日本の感覚で物事を進めようとすると動かない」ことです。

アメリカ人にも色んなタイプがいるのは確かですが、ある程度「典型的なアメリカ人」の考え方を知っておくと、ビジネスが円滑に進めやすくなります。

そんなときに出会ったのが『出世する人の英語』今までアメリカ人と働いて来て感じていたことが体系的にまとめられており、非常に参考になりました。

アメリカ人と仕事している人、今後仕事をする機会のある人にお薦めの本です。

 特に参考になった部分です。 

  • アメリカでは「空気を読んで」は通用しない
  • 自分の英語を卑下しない。自信を持って。
  • 効率的かどうか、フェアかどうかを意識しよう。

本の内容を、私が今までアメリカ人と仕事をしてきた中で感じていることと合わせてご紹介します。皆さんがアメリカ人と仕事をする上での参考になれば幸いです。 

アメリカでは「空気を読んで」は通用しない。

本文より

アメリカ人との英語でのコミュニケーションにおいては、「言わなくてもわかるだろう」というのは、まったく通用しません。

アメリカ人相手のときは「言わなければ伝わらない」のです。 理解してほしいことは、すべて言葉にして伝えるようにしないと、うまくコミュニケーションがとれません。

具体的に言えば、「自ら手を挙げて意見を言う」姿勢の有無が、外資系企業で出世できるかどうかの分かれ目になります。これができなくては、どんなに知識や経験が豊富でも意味がないと言ってもいいほどです。

アメリカでは 日本人が好むindirect(間接的な)コミュニケーションは伝わりません。

行間や空気を読む ➡︎ しっかりと説明するの意識の転換が必要です。

これは、日本がハイコンテクストで、アメリカがローコンテクストの傾向があるためです。

日本では「聞き手が空気を読み、文脈を補間する」のに対して、アメリカでは「話し手が全ての情報を提供して、言語化する」必要があります。

(ハイコンテクスト、ローコンテクストの説明はこのウェブサイトが分かりやすいです。)

スキルよりも意外とこのような意識の転換が難しくて、日頃から意識し続けて習慣化しないと、

英語でも「それは出来ない」と相手に答えるつもりで、 「It’s difficult to do.」と言ってしまっている人をよく見かけます。

difficult = 「できない」、ではなく「難しい」です。

このような間接的な表現は、相手を誤解させ、期待させてしまいます。

とにかくアメリカでは丁寧に伝えて主張しないと何事も動きません。

一方、主張しても勝てるとは限らず、主張することでやっと交渉の舞台に立てます。

自分の英語を卑下しない。自信を持って。

本文より

「でも、やっぱり英語に自信がないんだけど……」という場合は、言い方を変えましょう。  たとえば「私の発音はクリアではないかもしれません。質問があれば、いつでも止めてください(My accent may not be clear. Please stop me anytime if you have questions.)」と、自信を持ってきっぱり言えばいいのです。

明確にしておきたいことがあります。それは、アメリカ人には「こんな馬鹿な質問をして大丈夫だろうか」といった発想そのものがない、ということです。

日本人的な発想で「こんなことを聞いていいのだろうか」とためらう瞬間があったら、すかさず「いや、何でも質問して構わないはずだ」と頭を切り替え、どんどん質問するのがおすすめです。これくらい思い切らないと、発言のタイミングを逃してしまいます。

私はエンジニアのときにアメリカ・アラバマ州の工場の新規ラインの立ち上げをしていたとき、まだ英語がそれほど上手ではありませんでした。(今でも苦労はしていますが)

プロジェクト最後の締めのGOを決めるためのミーティング。

日本・アメリカでテレビ会議をして、その大舞台での発表の際、緊張からかプレゼン冒頭に「my poor Englishすみません」とコメントしたあとプレゼンを始めました。

そのプレゼン自体は無難に終わりましたが、プレゼン後にアメリカ現地の責任者から「自分の英語を卑下するようなコメントはするな。自信が無いように見えるだけだ」とのお叱りをいただきました。

冷静になって考えるとわかりますが、

自分や自分の英語を卑下しても誰の得にもなりません。

英語が上手かどうかよりも、伝わるかどうか、伝える情熱があるかどうかの方が大事です。

自信を持ちましょう。

お叱りを受けて以後、決して自分の英語を下げるようなことは言わないようにし、自信を持ってプレゼンして来ました。

そうすると、不思議なことに自分のプレゼンに自信ができ、堂々としてきます。

堂々とすると、プレゼンもより伝わりやすくなります。

効率的かどうか、フェアかどうかを意識しよう。

本文より

「予習型」のアメリカ人を相手に、「持ち帰ってあとで検討すればいい」という「復習型」の態度で面談に臨めば、相手の期待を大きく裏切ることになるでしょう。

アメリカ人にとって「会って話す時間をとる」ということの価値は非常に高いと考えてください。

Integrityは、辞書では「高潔」「誠実」「清廉潔白」などと訳されますが、これだけではIntegrityの本来の意味はわかりにくいかもしれません。  イメージが近いのは、「言動が一致している」「一本筋が通っている」といった表現です。より細かく説明すると、「どんなときでも、だれも見ていなくても、正しい判断や正しい行いができる強い姿勢」……という感じでしょうか。

日本人とアメリカ人とで根本的に異なるのは、「サービス業で働いている人」と「サービスを受けるお客さん」、あるいは「発注している側」と「発注される側」といった関係の捉え方です。  ビジネスをするうえで「お金を払う人」「お金を受け取る人」の関係があれば、日本人は「お金を払う人が偉い」という感覚を持っているのではないかと思います。  しかしアメリカ人の感覚では、そこに上下関係はありません。 お金を払う人、受け取る人はあくまで「対等なパートナー」なのです。おそらくこの背景には、Fairであることを大事にする価値観があるのではないかと思います。

だれに対しても対等に接しているかどうか、Fairな人であるかどうかは、あなたの評価に直結します。日本人とアメリカ人で感じ方が大きく異なるポイントですから、十分に注意してください。

アメリカ人は、プライベートでも仕事でも「効率的かどうか」ということにとても敏感な人が多いです。

打ち合わせでも電話でも、最初20秒くらい雑談から入ったかと思うと、その後、一気に本題に入ってずっとディスカッション。

日本にいた時の打ち合わせよりも密度の高い打ち合わせであると感じます。

(一方、スターバックスのコーヒーを持ちながら平気で遅刻してくる人もいるのは不思議なものです)

また、本書を読むまではあまり意識していませんでしたが、「フェアかどうか」を重視している、と言うのは、評価面談での交渉や、営業活動中の販売側と購入側の関係などを見ても「対等」に近く、確かにそうだな、と感じられます。本書を読んで「ハッと」気付かされた新たな学びでした。

複数人いるときに、「共通言語である英語を使って話をする」のも、「誰かが理解できないのはフェアではない」と言う、この「フェアかどうか」の考え方に関連しそうですね。

アメリカ人と日本人の会食で、日本人同士が日本語で会話することがありますが、

これはマナー違反ですので注意しましょう。

また、コミュニケーションで言うと、アメリカ人と日本人の両方がいる場では、日本人同士でも「ニックネーム」「ファーストネーム」で呼び合うべきです。

アメリカ人⇄日本人でニックネームで呼び合っている中、日本人同士でだけ名字で呼び合うと、全体の会話が硬くなってしまい、コミュニケーションが円滑になりません。

アメリカは気さくな人が多く、コミュニケーションもフランクですが、裏を返せば、コミュニュケーションを非常に重視している、と言うことです。お客様からも「営業の◯◯が好きだから買っている」と非常に属人的なことも言われます。

如何に円滑に進めるか?を意識したら、一気に周りとの関係もよくなるので気をつけてみてください。

プライベートの話題

本文より

アメリカ人は、「人生を楽しむ」ということを非常に大切にしています。そして、一緒に仕事をする同僚には、ポジティブで、エネルギーに満ちあふれた人であってほしいと考えます。

「自慢大会」のような場面であっても、アメリカ人はお互いに張り合うような嫌な空気を出したりはしません。繰り返しになりますが、アメリカ人にとってはそれは「自慢」ではないからです。  ではお互いにどういう態度をとるのかというと、基本的に「すごいですね!」と手放しで受け入れます。ここでいう「すごいね!」は、英語ではI’m happy for you.という表現がよく使われます。みなさんもこのフレーズを覚えておいて、ぜひ使ってみてください。

プライベートの話題というのは意外と難しいものです。仕事の話題の方が簡単なくらいです。

アメリカ人は「如何に人生を楽しんでいるか」というのを大事にしており、週明け後に「週末は何をしてたの?」との質問に「週末はゴロゴロ寝てたー」という返事は、趣味の無いつまらない人というレッテルを貼られます。

嘘をつく必要は全くありませんが、「時間があったから、◯◯のことをゆっくり考えていた」など、少し言い方を変えて見るなど、少し工夫して伝えると効果的です。

尚、「週末は何をしてたの?」は「How are you?」と同じく、単なる挨拶なので、格段面白い回答を期待されている訳でもありません。。

本文より

アメリカ人は、日本人と比べて愛校心が強い傾向があります。たとえば大学の財政は卒業生の寄付によって支えられていることが多く、著名人だけでなく一般のビジネスパーソンも出身校に寄付する文化があります。  ですから、出身大学の話をすると、素直に喜んでくれることが多いでしょう。私自身の経験でも、非常に話が弾みやすい話題です。

アメリカ人は、出身地への愛着も非常に強い傾向があります。ですから、次のように話を振れば、出身地について熱く語ってくれるはずです。

アメリカ人の愛校心の強さは尋常ではありません。

卒業して何年も経っていても、母校のトレーナーを来ていたり、車に母校のロゴのシールを貼っていたり、母校のフットボール(アメフト)の試合に週末毎に出かけたり、、、

(ちなみに、ゲームの前にファン同士で集まることをtailgatingと言います。私の同僚がフットボールの強い大学出身で、試合のある時には毎週末5時間かけて母校に行っていました)

ある程度、主要な大学がどこにあるかと、大体の州の場所を覚えておくと会話が続きます。

かと言って、全米で大きな大学は約700校ありますので、完全に覚えるのは不可能です。

州立大学は州の名前がつきますし、有名な私立の大学はカリフォルニアとボストンに固まっていますので、

まずは東海岸と西海岸にフォーカスして覚えるのが良いと思います。

お店選び

本文より

お店を選ぶ際、アメリカ人は正座ができないことを覚えておいてください。掘りごたつはOKですが、座敷は基本的にNGです。

アメリカから日本に出張来たときにお店をアレンジ・・・やはり文化の違いを理解してアレンジしたほうが、結果喜んでくれます。私のアメリカ人の上司は、日本でレストランに行くとき、次の3つを条件にしています。

  • 座敷ではなく、テーブル席であること
  • エアコンが付いていること
  • クレジットカードが使えること

どのような料理が良いかは、人にもよります。アメリカの主要都市では日本食レストランはあるので、ほとんどのアメリカ人は日本食にも慣れています。

個人的な経験で言うと、

・お寿司(刺身よりも寿司の方が喜ばれます。高級でなくても回転寿司も面白いです)
・焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼き鳥(肉は無難)
・お好み焼き(かつお節は苦手な人もいます)

が好評でした。

せっかくだから、と奇抜な料理を薦めてしまいがちですが、いわゆるベタな日本食の方がウケが良いです。(ウニ、いくら、生卵、納豆、焼き魚など苦手な人は結構います)また、モルモン教(ユタ州に多い)の方だと、食事に含まれるアルコール類を取ることができないですし、宗教的にでなくてもベジタリアンの方も結構多いので、事前に何が食べられないかは聞いておいたほうが良いです。

尚、店内喫煙可のお店は絶対に避けるべきです。

アメリカでは法律で飲食店ないはすべて禁煙となっており、店内禁煙可のお店はありません。喫煙者であっても、店外でタバコを吸うのが常識となっています。(一部、カジノなど除く)

私がお店選びで失敗した例:

・超ローカルの焼き鳥屋(ホルモンは食べないし、説明も難しい。周りに喫煙者)
・駅から離れたところにあるラーメン屋(美味しかったけど、歩くのを嫌がる)

以上、自分の今までの経験と合わせて、「出世する人の英語」をご紹介しました。

アメリカ人、アメリカ企業と一緒に仕事をする皆さんの参考になる本であること間違いありません。

個人的には、もっと若いうちに読んでおきたかった本でした。(そうしたら色んな失敗しなくて済んだのに・・・笑)

アメリカ人との仕事の付き合いかたや英語表現を学ぶ本では、下記ロッシェル・カップさん(@JICRochelle)の本もオススメです。

皆さんのご参考になれば幸いです!

Yoshi @yoshi_kotch

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